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美味しいお茶の淹れ方とは?

2019/12/01

張莉穎老師の中国茶レポート

美味しいお茶を淹れる方法とは? - 审评泡茶法と品饮泡茶法 –

今回は、いつも飲んでいるお茶をより一層美味しく淹れるのに役立つ情報をお教えします。

私たちのの間では、一般的にお茶の淹れ方は大きく分けて、「审评(審評)泡茶法」と「品饮(品飲)泡茶法」の二つに大別されます。 お茶のコンテストや評茶の現場では、評茶員達は「审评泡茶法」を用い、茶葉の形、香り、味、水色、そして茶殻などからお茶を総合的に評価していきます。この方法においては、評茶と同時に茶葉の欠点を探すことも一つの目的とされています。

一方、「品饮泡茶法」は、お茶の愛好家達が一杯のお茶をよりいっそう楽しむ為のお茶の淹れ方です。この方法の主な目的は、良いお茶を楽しむ為にそのお茶の良い所を存分に引き出すことです。両者の目的は同じではなく、その目的によってお茶の淹れ方もある程度変わってきます。

ではそれぞれの方法を見ていきましょう。

审评泡茶法の目的と淹れ方

审评泡茶法の目的は、そのお茶の等級や特質を調べて理解することにあります。
その為には、評茶員のプロフェッショナルとしての能力、評茶をする環境、茶葉(サンプル)の選び方等が総合的に求められます。
具体的な方法を見ていきましょう。

1、茶葉(サンプル)の量り方
写真のような専用の電子計量器を用いて3グラムを正確に量り、評茶杯に入れます。
紅茶、緑茶、黄茶、白茶の場合は、茶葉とお湯の比率は1:50とし、通常は3gの茶葉に対して、150mlのお湯を用います。青茶の場合は、1:22とし、通常110mlの鑑定杯を用い茶葉は5g使用します。

审评用具:计时器、审评杯、审评碗、样茶秤(左から)

2、お湯の入れ方
沸騰したお湯(100℃)を高い所から、ゆっくり、速く、そしてまたゆっくりという速さで杯がいっぱいになるまで注ぎます。こうすることでお湯の中に沢山の酸素が入り、お茶を淹れる際に理想的な効果を得ることができます。

3、抽出方法
杯の蓋を閉めたまま、5分間浸します。砂時計を用いて正確に時間を計ります。この間、杯の中茶葉はゆっくりと開いていきます。青茶の場合は、一煎目は2分、二煎目は3分浸します。

4、出し方
蓋を閉めたまま、淹れたてのお茶を鑑定杯から出します。(写真参照)
最後の一滴のお茶は濃度が高く、色も濃く味に影響を及ぼすので、必ず最後の一滴まで碗の中にあけて下さい。できれば、似たような茶葉を用意して比較してみるのも良いでしょう。そうすればより簡単にその茶葉の品質を判断することができます。

5、水色を見る
抽出した後は、まず初めにお茶の湯を見ます。温度が下がるにつれて、水色が変化していきます。水色を見るポイントはそれが明るい色が暗い色かということです。

6、香りを嗅ぐ
香りを嗅ぐ時は、熱い時、温い時、冷たい時に分けて嗅ぎます。熱い時に嗅ぐ事でその茶葉の中に変な香りがないかどうかを調べます。温い時に嗅ぐ事で、茶葉の特徴を調べます。冷めてから嗅ぐ事で、香りが持続するかどうかを調べます。

7、味を見る
レンゲでお茶をすくい、空気と一緒に口の中に含みます。お茶を舌全面に広げ、舌の上でゆっくりと細かくお茶の味を感じます。

8、茶殻を評価する
最後に茶殻を見ます。茶殻を見ることで、その茶葉がきちんと摘まれたものであるか(形が綺麗か)どうか、また摘む時期が適切であったかどうかを判断することができ、さらに茶葉の表面から製茶の段階で何か欠陥がなかったかもチェックすることができます。

以上のような評茶の方法を「审评泡茶法」と呼びます。
この方法を用いることで、外形、水色、香り、味、茶殻を通して、そのお茶の品質、特性、良し悪しを理解する事ができます。高温で長時間抽出した場合は、茶葉の短所が出やすくなります。茶葉の品櫃の優劣、等級区分、値段等はこの「审评泡茶法」によって決めることが出来ます。

次に、もう一つの方法を見ていきましょう。

「品飲泡茶法」の目的と方法

「品飲泡茶法」は茶葉の特色を最大限に引き出し、より美味しくお茶を淹れることで人を楽しませる事を目的としています。「品飲泡茶法」を行う場合は、淹れるお茶の個性を大切にし、茶葉の現状を鑑賞し、そのお茶そのものを楽しむ事を大切にします。

通常、一般的な緑茶、紅茶、プーアール茶等を淹れる場合の茶葉と水の比率は1:50です。つまり、3gの茶葉を使う時は150mlの水で淹れます。烏龍茶の場合は1:30の比率です。
さらに具体的に、茶葉を入れる時の原則として「细茶粗吃,粗茶细吃」という方法を用います。これは、細かい(若い)茶葉の場合は多めに、大きな(育っている)茶葉の場合は少な目に入れるという方法です。 
一般的に、高級で繊細な緑茶や、繊細な祁門紅茶等を淹れるのに最も適した水温は80-95度とされます。その他のプーアール茶や烏龍茶に関しては、100度のお湯を用います。

製茶方法、原料(茶葉)が違えば、それぞれの茶葉はそれぞれ違った特性を持っています。茶葉が違えば淹れ方も一様ではありません。この方法においては、そのお茶の特性を十分に理解していること、そして道具、水質、水温、茶葉とお湯の比率、抽出時間等の影響も深く理解した上で、適切な道具、水質、温度、茶葉とお湯の比率、抽出時間を選び守ることで初めて美味しいお茶を淹れる事ができるのです。 审评泡茶法と品饮泡茶法的の違いを以下の様に一枚の表にまとめました。

审评泡茶法 目的 : お茶の特性を理解して明らかな欠点を見つけ出す事。
品饮泡茶法 上段 : そのお茶の特性に従って、淹れ方、道具、茶葉と水の比率、温度、抽出時間を決める。
品饮泡茶法 目的 : 最も美味しい一杯のお茶を楽しむ事

お茶は全て同じではなく、それぞれ風味や特性を持っています。
「审评泡茶法」はそのお茶の品質や特性を理解し、その良し悪しを判断する手助けとなります。そのお茶の特性や良し悪しを理解すれば、より上手く美味しいお茶を淹れる事ができ、さらには製茶の時に良いお茶に仕上げることも出来ます。
一方、「品飲泡茶法」は、お茶を鑑賞し、楽しみ、色や香り、味を最大限に引き出し、さらにそれを調和させることを目的としています。

日常生活の中で、貴方がもしお茶に興味があるのなら、自分で鑑定杯や鑑定碗を一揃え持っているのも良いし、あるお茶を飲む前に、そのお茶の特性を知るために「审评泡茶法」を用いるのも良いでしょう。
この方法を用いて、もしそのお茶が淡いと判断されたなら、「品飲泡茶法」でお茶を淹れる時に茶葉と水の比率、あるいは抽出時間を加減することでお茶の味を調節することができます。もしそのお茶が苦いと判断されたなら、お湯の温度を少し下げて淹れることもできます。

このように、いろいろな方法を用いてお茶を考えることで初めて、私達は、お茶の特性を知らないこと、また不注意なことでそのお茶を台無しにしたり、その特性を間違って判断してしまう事を避けることが出来ます。
特に「审评泡茶法」にていては、この方法を熟知していれば、お茶を飲む時にそのお茶を明確に理解し、客観視することができ、よりそのお茶を楽しむことが出来ます。
そして、当然のこととして、このように専門的にお茶を評価し品質を定めるような事は、既に企業が先に行っています。
ですから、企業は一般的な淹れ方とアドバイスを商品のパッケージ上に明記するのが好ましとされるのです。

如何でしたか? これから皆さんがお茶を飲む時、淹れる時、この方法を参考にしてみて下さいね。

2014年10月 張莉穎