中国茶アドバイザー/インストラクターのホームページへようこそ。私たちと一緒に中国茶を学んでみませんか?

『張莉穎老師と行く福建省武夷山・政和県』中国茶スタディツアー報告

2020/01/10

2019年10月28日から11月1日までの5日間、中国茶指導・老師8名で福建省武夷山を訪問しました。

今回の研修は、中国を代表する福建省の銘茶「武夷岩茶」を学習することを目的として企画されました。また、福建省の政和にも赴き、伝統的な白茶の製造方法も学ぶ機会を得ることができました。

杭州より張 莉穎老師がご同行くださり、武夷岩茶・紅茶・白茶の最新の知識や情報をご教授いただき、参加したメンバーにとって非常に意義のある研修となりました。

<1日目>

上海虹橋火車站に集合し、新幹線(高鉄)で武夷山へ。

ホテルにて夕食後、武夷山の町を散策。茶店の前で茶葉の選別作業をしている人々など、お茶の町らしい光景にも出会いました。

<2日目>

午前中は武夷山保護区を2時間以上かけてトレッキング。

大紅袍の原木を視察。

岩場を歩きながら、慧苑禅寺へ。茶畑の写真を撮り、寄り道しながらのトレッキングはあっという間の2時間でした。

昼食後は九曲渓いかだ下り。 

のんびりと一時間半かけて水辺から武夷山を楽しみました。

夕方、武夷山吴印生态茶业有限公司を訪問。 

吴 東老師は2016年のG20杭州サミットに採用された武夷岩茶の若き茶師です。老欉水仙と肉桂をテイスティングさせていただきつつ、吴老師のお話を伺いました。

<3日目>                        

政和まで足をのばし、白茶の製造工程を見学。

政和では隆合茶業に訪問しました。こちらの経営者である杨 丰老師は政和白茶の非物質文化伝承人であり、『政和白茶』という本を書かれておられる研究者でもあります。

茶葉を萎凋している建物にて、杨老師が白茶の製造工程について直々にご講義くださいました。戸の開閉によって自然に空気が循環し、万遍なく茶葉に風が行き渡り、萎凋を均一に行うことができるそうです。私たちが訪問した際も心地よい空気が流れていました。

白牡丹や白毫銀針、政和工夫など様々なお茶をいただいた後、茶畑を案内いただきました。急な斜面に植えられた茶樹の眼下に広がるのは竹林や雑木林。工場の周囲には田畑や池があり、東アジア的な原風景が広がる場所でした。この一帯を隆合茶業で所有しており、社食ではこの土地の食材で作られた食事を提供しています。私たちも地産地消の美味しいランチをいただくことができました。

夜、武夷山に戻り、正山小種や武夷紅茶について学びました。聚心茗閣のオーナーである伍老師は、桐木村のコンテストの審査員を務められている実力者です。こちらでは深夜まで紅茶を飲みながらお話を伺いました。

<4日目>

午前中は張老師による武夷岩茶の講義。武夷山市道清茶科所にて先生自ら武夷岩茶を淹れてくださいました。この武夷山市道清茶科所は1950年代~90年代まで大紅袍の原木の製茶を行ってきた歴史ある製茶工場です。

午後は武夷山市岩上茶葉研究所を訪問。

刘 国英老師は武夷岩茶制作の非物質文化伝承人であり、武夷岩茶研究の最高峰の研究者のお一人です。中国茶指導・老師のテイスティング会で飲んでいる岩茶は、刘 国英老師の手がけた岩茶ですので、私たちにとってまたとない学びの時間となりました。大紅袍の原木について、肉桂や水仙、そして新品種についてと、様々な質問にお答えくださいました。

<5日目>

午後 上海虹橋火車站にて解散

■ 今回の武夷山研修ツアーは非物質文化伝承人の著名な先生だけでなく、若手ながら才能の有る先生方にもお会いでき、武夷岩茶や白茶、紅茶の現状について幅広く学ぶことができました。また、朝から夜遅くまでお茶三昧という、中国茶愛好者仲間ならでは楽しい研修となりました。

この研修は張老師なくては実現できず、様々な先生にお引き合わせくださった張老師には深く感謝申し上げます。

岩上茶葉研究所

【研修日程】
2019年10月28日(月)~11月1日(金)

28日 月曜日 上海虹橋火車站集合 → 武夷山東(新幹線)
29日 火曜日 午前 大紅袍原木・武夷山保護区視察
午後 九曲渓いかだ下り
         吴印生态茶业有限公司訪問
30日 水曜日 政和県白茶見学  隆合茶業訪問
31日 木曜日 午前 武夷山市道清茶科所訪問
       午後  武夷山市岩上茶葉研究所
11月1日 金曜日
       武夷山東 → 午後 上海虹橋火車站(新幹線)

作成 沼尻裕子